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多発性硬化症(Multiple sclerosis:MS)は、中枢神経系(CNS)の炎症性脱髄疾患である。現在の治療法では、有効性にも限界があることや副作用がみられることから、新たな治療薬、改善薬を確立することが重要な課題である。

今回紹介する研究の目的は、神経症状評価尺度(EDSS)とサイトカインの濃度が、アサ(アサ科アサ属アサ 麻 Cannabis sativa)の種子から抽出するヘンプ油や同じくツキミソウ(アカバナ科メマツヨイグサ属 メマツヨイグサ 雌待宵草 Oenothera biennis)の種子から圧搾抽出する月見草油(月見草油)のサプリメントを摂ることとある栄養管理を実施することとがどのように作用するかを明らかにすることであり、再発と寛解を繰り返す病状を示す、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の患者を対象に検討した。

EDSS のスコアが6より小さいRRMSの患者を対象に、栄養管理とともにヘンプ油と月見草油のサプリメントを摂取することを促し、EDSSとIL-4, IFN-γ, IL-17といった免疫機能の指標となる物質について、ベースラインの後6ヶ月調べた。

その結果、6ヵ月後にはEDSSのスコアの大幅な改善がみられ、IFN-γやIL-17およびIL-4といったサイトカインが増加していた。これらの結果より、栄養管理とともに、アサ種子及び月見草油を摂取することにより、多発性硬化症の症状が緩和されることが示唆された。

ヘンプシード、つまり麻の実は、日本では古くから食材、薬味として使われてきた。ヘンプ油を取り入れることが症状緩和、健康の増進へとつながることは日本の食文化の意義を示していることと思う。

 

〔参考文献〕ezapour-Firouzi S, Arefhosseini SR, Farhoudi M, Ebrahimi-Mamaghani M, Rashidi MR, Torbati MA, Baradaran B., Association of Expanded Disability Status Scale and Cytokines after Intervention with Co-supplemented Hemp Seed, Evening Primrose Oils and Hot-natured Diet in Multiple Sclerosis Patients.Bioimpacts. 2013; 3 :43-47.

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