植物療法  研究トピックス
No. 8 カキドオシに紫外線による色素沈着を取り除く美白効果あり

〜日本のハーブでホワイトニング、ケラチノサイトに関与?〜

夏の間はなるべく日に焼けないよう、太陽の日射しから自分を守り、そして日焼けが沈着してしみにならないようにホワイトニングにも気を付けている方は多いだろう。太陽から私たちの元へと届く紫外線を過度に浴びることは、色素沈着によるしみ、そばかす、色素斑などの皮膚の不調を誘発する主要な環境要因である。

紫外線に誘発されて皮膚に炎症反応が起こっているとき、炎症促進性メディエーター(媒介物質)が傍分泌(パラクリン)刺激によるメラニン産生の要因となる物質(α-MSH, SCF, ET-1, bFGF, NO、以下パラクリンファクターという)をケラチノサイトに誘引している。これらのパラクリンファクターはケラチノサイトとメラノサイトとの間でのパラクリン系を介してメラノサイトでのメラニン産生を活性化している。

日本でも身近に生育しており、垣根を通してしまうほど繁茂することから名前がついたカキドオシ(シソ科Glechoma hederacea)は、地面を這うように伸び、西洋ではグランドアイビーと呼ばれ、世界各地で親しまれている。このカキドオシは、疳取り草とも呼ばれ、子どもの疳の虫を抑えることや、尿路結石の症状改善効果があることからメディカルハーブとしても重宝されているが、その抗炎症効果も大いに期待されている。

カキドオシの抗炎症メカニズムについては、パラクリンファクターであるNO産生(NOS)や炎症促進サイトカインであるTNF-αの活性を阻害することによるとの報告が既にあるが、日焼けにより色素沈着をした場合の脱色効果についてはまだ報告がなかった。

今回ピックアップした研究では、アジアの女性を対象に、紫外線により誘発された局部的な色素沈着に対して、カキドオシエキスのローションを塗布することを8週間行なったところ、プラセボと比較してその脱色効果を検討した。

その結果、カキドオシエキスのローションを施したグループで、顕著な抗炎症と脱色の効果が確認された。そしてカキドオシの脱色効果の発現メカニズムは、メラノサイトでのメラニン産生直接的に抑制するというよりは、ケラチノサイトでの炎症促進性サイトカイン分泌やメラニン産生のためのパラクリン刺激を抑制することと関係があることが示唆された。

春から秋にかけて山を歩いていると、登り口あたりの低地に、丸い葉を広げたカキドオシに出会うことがある。葉を摘んで、しっかりとシソ科のつんとした香りを確認して、水を入れた水筒に、少しだけ入れてみる。そして、振りながら歩くと、ほのかに香りのある美味しいカキドオシウォーターのできあがり・・。登りながら、このカキドオシウォーターを飲むのが愉しみなのだが、香りだけでなく、日焼けにもよいのはとても嬉しい・・。と改めて思った。

【参考】Ha JH, Kang WH, Lee JO, Cho YK, Park SK, Lee SK, Cho HK. Clinical evaluation of the depigmenting effect of Glechoma Hederacea extract by topical treatment for 8 weeks on UV-induced pigmentation in Asian skin. Eur J Dermatol. 2011;21(2):218-22.

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