植物療法  研究トピックス
No. 6 チェリー(桜)の樹皮は女性のためのハーブ、フィトエストロゲンとしての作用あり!

〜主な活性成分は大豆と同じゲニステイン〜

春には満開の花、夏には新緑の葉、そして秋には赤く色づく紅葉を愉しむというように、桜は日本人にとっては特別な植物である。

薬用植物としての桜の活用としては、まず第一にチェリーバーク、つまり桜の樹皮が挙げられる。洋の東西を問わず、チェリーバークは活用され、生薬としては樹皮の内皮が桜皮として使われている。

この桜皮、漢方薬では十味敗毒湯の構成生薬であるが、出典によっては桜皮の代わりにクヌギの樹皮である樸樕(ボクソク)を用いる場合もあるようだ。

今回紹介する論文では、桜皮のエストロゲン様作用について樸樕と比較している。双方とも加熱した水抽出エキスを材料として、レセプター/コア口ベーター・リガンドバインディングアッセイ法により、エストロゲン受容体β結合能を評価し、GC-MS及びLC/MSにより、含有成分について調べている。

成分については、桜皮エキスにて、主成分サクラネチン、ナリンゲニンの他、ゲニステイン、ゲンクワニン、アルクチゲニン、β-シトステロールなどが検出されたが、樸樕では桜皮のもつこれら成分のうちではβ-シトステロールのみを含有したとのことである。

エストロゲン受容体β結合能を調べて、フィトエストロゲンとして作用はどうか調べている。通常
体内で作用する17β-エストラジオール70ng/mlのエストロゲン受容体βとの結合能を100%として桜皮エキスや主だった成分について検討したところ、桜皮エキスでは40及び100μg/mlで40%の結合能を示したそうだが、樸樕では認められなかった。

主要各成分のエストロゲン受容体β結合能について調べてみると、大豆イソフラボンの一つとして知られているゲニステインが最も高く、次いでサクラネチンとナリンゲニンであった。また、ゲンクワニン、アルクチゲニンは結合能が見られなかったとのことである。

これらの結果より、チェリーバーク(桜皮)は、主要成分としてゲニステインを持ち、これにより、フィトエストロゲンとしての作用を発現することが示唆された。

最近では、桜茶に用いる、八重桜の花を梅干を作る際に梅の実と塩を合わせてしばらくおくと出来上がる梅酢に漬け込んで得たエキスの抗酸化についての報告の他、八重桜の花に抗糖化作用があるとの示唆が2010年日本生薬学会大会にて下田らにより報告されており、桜の花をスキンケアに活用されることも始まった。

女性の味方としての桜に今後も注目していきたい。

【参考】Tohno H, Horii C, Fuse T, Okonogi A, Yomoda S. Evaluation of estrogen receptor Beta binding of pruni cortex and its constituents. Yakugaku Zasshi. 2010 Jul;130(7):989-97.

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