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No.49 ブロッコリースプラウトは,肥満における炎症の誘発を予防し改善する
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ブロッコリー(アブラナ科Brassica oleracea var. italica)は,地中海を原産とする緑黄色野菜で,カリフラワーとともにキャベツの変種であり,和名ではメハナヤサイ(芽花野菜,芽花椰菜)と言う。

通常食用としているのは,蕾の状態の花序と茎であり,今回の研究の対象であるスプラウトは,近年,ヘルシーな食材として大きく注目を集めている。

 

今回紹介する論文は,肥満の状態で起こりやすい炎症傾向が,ブロッコリースプラウトを属することによって,予防したり,改善したりすることができるか検討したものである。

 

40人の健康な太りすぎの被験者でin vivo対照試験を実施した。

試験は10週間のブロッコリースプラウト(30g /日)の摂取と,これらのブロッコリースプラウトを摂取しない通常の食事の10週間で構成した.効果を把握するためのパラメータは,体脂肪量,体重,BMIなどの身体状況,そして炎症状態の把握のために,TNF-α,IL-6,IL-1βおよびC反応性タンパク質のレベルを測定して評価した。

 

その結果は以下の通りである。

1)ブロッコリースプラウト摂取期間では,IL-6レベルが有意に低下した(平均値は4.76 pg / mLから2.11pg / mL,70日間のブロッコリー摂取でp <0.001)。

2)摂取後に続く,摂取しない対照期間も,炎症レベルは低い状態で維持された(平均値は1.20 pgから) / mL〜2.66 pg / mL,p <0.001)。

3)炎症が起こっていることを示唆するC反応性タンパク質が大幅に減少した。

 

これらの結果より,ブロッコリースプラウトは,肥満における炎症を予防したり改善する目的で摂取する選択肢の一つとなりうることが示唆された.

 

今回の研究は,ブロッコリースプラウトを日常的な食事パターンに組み込むという介入研究の一つの新しい方法である。

 

ブロッコリーなどアブラナ科の植物には,イソチオシアネートの一種であるスルフォラファンを多く含むものがあり,その抗酸化作用,抗がん作用や抗ピロリ菌活性が報告されている。

今回は,その新芽に注目したという点でも,効果の発現の検討として興味深いところがある。

成長から生殖のフェーズに移行し,受粉や結実と次の世代の種子作りに入っていくフェーズでは,より一層の抗酸化作用を有することが予想でき,今回の結果は新芽の効果効能を考察した点でも有意義な研究と言えるだろう。

ブロッコリースプラウトの,健康的で栄養価の高い食品としての役割を解明するには,さらなる研究が必要だが,今回の研究結果は,これらのアブラナ科アブラナ属の品種の健康的な特性のエビデンスとなり得るだろう。

〔参考文献〕López-Chillón MT, Carazo-Díaz C, Prieto-Merino D, Zafrilla P, Moreno DA, Villaño D. Effects of long-term consumption of broccoli sprouts on inflammatory markers in overweight subjects. Clin Nutr. 2019 Apr;38(2):745-752.

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