植物療法  研究トピックス

〜薬用と食品用で成分含有量の違いを確認〜

秋に花を咲かせる菊、日本では9月9日の重陽の節供で、菊茶や菊酒を頂き、無病息災や長寿を祈る。そしてお正月を迎えるための植物としても活躍することの多いのが菊だ。

陽の数が重なると陰になるとのことから、避邪のためのお清めをするというならわしは中国から渡ってきたもの、中国では重陽の節供のみではなく、一年を通して、体の調子を整えるために菊茶を頂く地域も多いとのことである。

今回紹介する研究は、中国産キク栽培種5種の花部を原料に12種類の試料を用意して、まずはHPLC-DAD-ESI/MS分析により成分を同定し、その比較を行っている。その結果、キク頭状花において、4種のカフェオイルキナ酸と15種のフラボノイドが同定され、薬用植物としての栽培種3種では、フラボノイド配糖体のアグリコンと糖の含有量及び質が、食用植物としての栽培種2種と比べて大きく異なることも明らかとなった。このことからこれら差異のある含有成分について、薬用植物の品質管理の指標とできる可能性が示唆された。

そして更に、これらの5種の抗アレルギー作用について調べたところ、薬用植物として栽培されている「huaiju」という種類からの抽出物が、in vitroでの実験で、アレルギー反応を反映する、抗原により誘導されるRBL-2H3 培養細胞からの脱顆粒を抑制し、またin vivoの実験で、同じくアレルギー反応の指標となる、compound48/80誘導によるマウスのひっかき行動を抑制する効果がみられたのだそうだ。一方、食用としての栽培種2種ではこれらの実験にて確認できる抗アレルギー作用は小さかったとのこと。

これらの結果より、キク花では活性成分であるいくつかのフラボノイドのアグリコンの含有量や質が薬用と食用では異なることが分かり、それが、有効性の一つである、抗アレルギー作用の大きさの違いと関連していることが示唆され、薬用としての有効性を見極める品質管理の指標とすることができる可能性が示唆された。

キク花では、抗アレルギー作用の他にも、抗酸化作用や、鎮静作用、抗炎症作用などもあるとされており、これらの作用と活性成分の関係についても更に明確になることが期待される。

【参考】Xie YY, Qu JL, Wang QL, Wang Y, Yoshikawa M, Yuan D. Comparative Evaluation of Cultivars of Chrysanthemum morifolium Flowers by HPLC-DAD-ESI/MS Analysis and Antiallergic Assay. J Agric Food Chem. 2012;60(51):12574-12583. 

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